今回は ダイアローグを作るときに気を付けるポイントを勉強しました。
今回も読んだ本はこちらです。
著:ロバート・マッキー、訳:越前敏弥
そこでマッキー先生は面白くないダイアローグを作らないためのポイントを次の視点から教えてくれます。
- 信頼性の視点
- ことばの視点
- 中身の視点
- 設計の視点
信頼性の視点
当たり前かもしれませんが、ダイアローグを面白くするためには信頼性はあったほうがいいです。
なぜなら信頼性がないダイアローグは一瞬で観客の興味を失わせるからです。
「主人公の言っていることがめちゃくちゃでストーリーが追えなかった」
「主人公がなんでそこまでするかわからなくてストーリーに入っていけない」
などと思ったことはないでしょうか?
登場人物の行動やセリフに納得できない!という感情を引き起こすのが信頼性のないダイアローグです。
僕の場合、「スパイダーマン」とか「バットマン」のヒロインへの恋心に対して「納得できない!」という感情を持ってしまいます。
主人公の幼馴染という理由から、主人公がこのヒロインに恋心をもつのは理解できるのですが、たまに恋のライバルみたいな奴が現れると結構きつくなります。ヒロインがミスコンとか受賞するシーンがあれば納得いくのですが、ヒロインがマドンナの設定を説明なしに急にモテられるので「納得できない!」となり、面白くない作品として認識してしまいます。
たぶんこれも信頼性のないダイアローグの一例です。
ただ間違えてはいけないのは、「非現実的だから納得できない!」ではないのです。
別に「手から蜘蛛の巣が出るなんてありえないだろ!」と言いたいわけではないのです。
その世界のルールや登場人物の設定やキャラに忠実にしてください!というお話なのです。
ヒロインがモテるだけの魅力を提示していてくれたら何も問題ありません。
きっと僕が見落としているだけなのかもしれませんが・・・
さて、ではどうしたら信頼性のあるダイアローグを作れるか?なのですが、
これはもう気を付けるしかありません。
そこでマッキー先生は気を付ける手がかりとして信頼性が欠如したダイアローグの例を分類して提示してくれています。
・空疎な語り
⇒登場人物のことばの奥にあるサブテクストに対する原因や動機が見つからないダイアローグ
例:登場人物がお互いに知っている情報を語る。わざわざ語らなくていいのに
・感情過多な語り
⇒登場人物が感情的なことばを発しているとき、その感情の原因がことばに見合っていないダイアローグ
例:そこまで怒ること?そんなに好きだったの?!ってやつ
・知識過多な語り
⇒登場人物が博学すぎたり、ほかの登場人物のことを知りすぎているダイアローグ
例:ここでこれ知っているのは都合よすぎない?なんで知っているの?ってやつ
・洞察力過多な語り
⇒登場人物が自分のことを客観的に知りすぎているダイアローグ
・動機を装った口実
⇒行動やサブテクストを正当化しようとしているダイアローグ、動機をきれいなものとして提示するダイアローグ
例:これはお国のための戦争です、みたいなやつ。
ことばの視点
もうダイアローグのことば遣いから面白くない!
こういうこともあり得ます。
以下が面白くないことば遣いです。
- 長い
- ありきたりで手垢がべたべた
- 具体的でなくて抽象的⇒「家」を「住居」、「Tシャツ」を「衣類」と言うとピンとこない
- 遠まわしでわかりづらい⇒「弟のお父さん」とか倒置法とか目立たせることよりも聞いてすぐわかる言い方を
- 大げさすぎる⇒「伝説の」「超ド級」などすごさ出そうとしてる感強いと冷める
- 特徴的でない⇒その登場人物らしさがでない
中身の視点
ダイアローグの中身を考えたとき、一番面白くないのはセリフに含みがないときです。
含みがないとは登場人物が発する言葉自体(テクスト)に登場人物の欲求や感情(サブテクスト)がすべて出きっていることです。
普通、人には「言うこと」「言わないこと」「言えないこと」があり、
「言うこと」を表現したセリフの裏に「言わないこと」「言えないこと」(サブテクスト)が隠れているものです。
なので、サブテクストがテクストに出きっている含みがないセリフは現実味がなく信頼性にかけるし、テクストの裏のサブテクストを探す楽しみも奪われてしまっていて面白くありません。
つまり、面白いダイアローグを作るためには、登場人物に思いをすべて語らせてはいけないのです。
そこで、マッキー先生は登場人物が思いをそのまま語りすぎないためのテクニックを提示してくれます。
二人劇は三人劇に
登場人物が二人で語りあう場合、お互いの感情が強いと、特に油断して、直接的なセリフが増えてしまい含みのない面白みのないダイアローグになってしまいます。
これを防ぐために、三人目の人やモノといった対象を対立する二人の矛先に向くように置いてあげるのです。
たとえば、「まだ結婚できない男」の最終話で阿部寛さん演じる桑野と吉田羊さん演じるまどか先生は『結婚しないで独りで生きるのは寂しいか寂しくないか』言い争います。
寂しくない(桑野) VS 寂しい(まどか先生) の構図です。
この対立には「 桑野のクライアントの家の設計」という三人目をお互いの矛先として置いています。
「鉄道模型を走らせられる設計だ」とか「誰かと暮らすための設計の疑惑は?」といった言い争いから
『結婚しないで独りで生きるのは寂しいか寂しくないか』の言い争いになっていきます。(よくわからない説明だと思うのでドラマを見てください)
最初からこのテーマについて話さずに三人目について話し、含みを持たせたおかげで、潜んでいたお互いの主義主張(サブテクスト)がより本当のものに感じられて面白いダイアローグになっています。
設計の視点
設計の視点からダイアローグを面白くなくするものは以下のとおりです。
・調子の反復
⇒登場人物同士のアクション/リアクションのやりとりが繰り返し反復される。
例:懇願/拒否→懇願/拒否→懇願/拒否→懇願/拒否
・不出来なセリフ
⇒ あいまいなことばを使ってわかりずらい
or セリフの意図が伝わり、リアクションを促すタイミングずれている
・不出来なシーン
⇒ シーンの転換点が来るタイミングのずれ
例:恋人が別れ話をするシーン
別れが決まるのが早いと後の時間はだれる。別れが決まるのが遅いと別れる前に飽きてしまう。
・分裂したシーン
⇒登場人物の欲求とアクションが一貫していない。
例1:強い欲求に対して味気ない言動
例2 :弱い欲求に対して凝りすぎた言動
例3:欲求と言動に関係性が見つからない
例4:登場人物同士の欲求がぶつからず、葛藤が起きず変化も起きない。